SFC末期のグラフィックで描いたサイバーパンク 旧約・女神転生

FC/SFC

旧約・女神転生
発売日:1995年3月31日 ハード:SUPER FAMICOM

※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。

スーパーマリオコレクション、ドラゴンクエストI・IIなどファミコン時代のゲームのリメイクブームがあり、その中のひとつがこの作品。「デジタルデビルストーリー 女神転生」「同II」の2作品をカップリングしたものです。

SFC末期の緻密なグラフィックに書き直され、システムも時代に合わせ遊びやすいものに。ただし、FC版をプレイしたユーザーからは音楽に不満があるようです。経験がない筆者にとっては、ドラクエやFFとは違う、Rock感や印象的なメロディーに心を打たれました。「ビエンの街」や「Dash Under The Ground」がお気に入りです。

ドラクエ、FF、メガテン。みんなウィザードリィに影響を受けつつ、主観視点を継承したのはメガテンシリーズだけでした。そのメガテンもペルソナ2からは三人称視点になってしまいますが、主観視点ならではの没入感と雰囲気作りが上手い今作です。

このレビューでは「女神転生II」について特に取り上げます。

核爆弾で崩壊した近未来の東京の地下シェルターで暮らす少年2人。ゲームを開始するとまずプレイヤー名を入力するのですが、少年2人がプレイする「ゲーム内ゲーム」に本名を入力するという演出。「真・女神転生デビルサマナー」にも継承されている、導入部の上手さが既にこの時点で芽生えています。

さらに、このゲーム内ゲームは前作「女神転生」の序盤を再現したもの。進めていくと、悪魔パズスがゲーム内に侵入し、対立勢力と戦う協力を呼びかけ、主人公には「悪魔召還プログラム」、友人には魔法の力を授けます。

現実世界に戻ると、シェルター内にも悪魔が出現。少年2人はシェルターの重厚な扉のロックを解除し、外界に飛び立ちます。そこには荒涼とした東京の風景が広がり、「ヒャッハー」と叫びそうな異形と化した元人間や悪魔達を、剣と魔法、そして銃器で倒していきます。

腕に取り付けられたキーボード/アームターミナルとケーブルで繋がったヘッドマウントディスプレイを装着した主人公の姿はまさにサイバーパンク!あるイベントで腕をもぎ取られた主人公が義手サイバネティックアームを付けたり、転送ターミナルからテレポーテーションしたりとSF感満載です。現在、高性能なスマートフォンやHMDが登場しようやく時代が追いつきつつありますね。

悪魔達はただ倒すのではなく前述の「悪魔召還プログラム」を利用して交渉、「仲魔」にしてコンピューターから呼び出す事ができます。メモリを手に入れて機能を拡張するといった演出もニクい。さらに映画「ザ・フライ」のようなカプセルに入れて悪魔同士を合体、新たな悪魔を生み出す事ができます。これらの要素はドラゴンクエスト5やテリーのワンダーランドにパク…受け継がれて好評を得ます。まあ、メガテンの世界観って一般人にはとっつきにくいですもんね。

東京を舞台に世界中の神話の神々や悪魔が現れ、その争いに人類が巻き込まれる。非力だった主人公が、やがて神をも倒すまでの力を身に付けていく、壮大なストーリーが展開されます。こんな宗教観のゲーム、日本人にしか創れないでしょうね。

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