鮮やかな色彩と音色 ファイナルファンタジー4

FC/SFC

FINAL FANTASY IV / ファイナルファンタジー4
発売日:1991年7月19日 ハード:SUPER FAMICOM

※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。

スーパーファミコンの電源をパチっといれると、おなじみの曲「プレリュード」が従来のPSG音源から透明感あるハープ系の音色に。タイトルに添えられたクリスタルの輝きも美しい。この時点でファミコンを圧倒的に越えるSFCのハイクオリティなグラフィック/サウンド機能を実感しました。

ゲームを開始するといきなり拡大縮小機能を使った飛空艇の飛行シーンという大サービス。画面切替毎のモザイク処理など、ハードの特性を強くアピールしています。勇ましいマーチとは正反対に、軍人セシルが略奪行為を悔やむ内面の葛藤が描かれます。これは黒澤明監督の映画で使われる対位法という手法で、状況と音楽とのギャップがかえってテーマを引き立たせています。

FC時代の3作品で電源投入直後にプロローグが流れる表現は映画「スター・ウォーズ」を意識していると思われますが、今作は特にその傾向が強い。主人公は暗黒騎士で、ダークフォースを操り戦う様はまるでダース・ベイダーです。解任された主人公の後任で、宿敵となる暗黒騎士は後に実の兄と明らかにされます。I’m your brother!

操作可能になってメニュー画面を開くといきなりレベル10!すでに育ってました。オーケストラ調にアレンジされたテーマ曲に圧倒され、フィールドで流れるメインテーマはシリーズでも1、2を争う名曲。出会いと別れを繰り返す物語。戦闘中にもストーリーが展開される演出が多用され、過去の自分に打ち勝つ為に防御し続けて耐え忍びます。舞台は地底世界、月面世界にまでおよび、死んだと思われたキャラは大半が生きています。ラスボス戦の背景演出は今見ても迫力がありました。

SFC時代のスクウェアはドット絵が素晴らしい作品が多く、このFF4もそのひとつ。特にパーティーメンバーの戦闘中のキャラグラフィック。色使いが鮮やかで表情も豊か。少女リディア、テラ、ギルバート…。筆者は特に緑色のカインが好きでした。

FFシリーズにおいて、今作で初めて導入された要素が多くあります。ひとつはATB(アクティブタイムバトル)。従来の、パーティー全員分のコマンドを入力後にその結果が実行されるターン制バトルとは違い、目まぐるしく変わる状況の中でリアルタイムにコマンドを入力するシステムです。強力な魔法ほど詠唱時間のため実行までのタイムラグがあったり、時間経過で形態を変化させるボスなど今までにない緊張感をRPGにもたらしました。

ストーリーを重視した影響か、成長システムはレベルアップで魔法を覚えるだけのシリーズ屈指のシンプルさ。個性的なジョブ特性を持ったキャラクターが次々に入れ替わっていきます(GBA版では離脱したキャラクターも含めて最終パーティーを自由に編成可能に、DS版では廃止、PSP版で再び採用されたようです)。

タイトルロゴに現在まで続くスタイルが採用されたのもこの作品です。ちなみに、偶数作のロゴには特定の個人が、奇数作にはシンボル的なものが描かれる傾向があります。FF4では劇中で裏切りを繰り返すカインが選ばれ、今作を象徴しているのかと思いきや、暗黒騎士のセシルにすると後でパラディンになっちゃうし、パラディン状態だとネタバレになる、という人選だったそうです。

コンフィグ機能やプレイ時間表示が導入されたのも今作が初。ユーザビリティの高さや技術的な余裕を感じました。メニュー画面の伸縮するウィンドウや、ネミングウェイのネーミングセンスも好きでした。

システムがシンプルな為か、頻繁にリメイクや移植が行われている今作。ワンダースワンカラーではFF3を差し置いて先に発売されました。FF6のアクセサリーシステムぐらいは乗っけてもらって良いかもしれませんね。

それでは、明日もこのブログに来てくれるかな?いいですとも!

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