シリーズの完成形 ファイナルファンタジー5
FINAL FANTASY V / ファイナルファンタジー5
発売日:1992年12月6日 ハード:SUPER FAMICOM
※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。
筆者は当時10歳。近所のオモチャ屋の店頭で、オープニング映像が繰り返し流れていたのを覚えています。白抜きのロゴの中を、雪に白く染まった山々と緑の草原を背景にチョコボにまたがり走るバッツ。最後にはロゴ部分が画面からはみ出す程に拡大し手前に迫ってきます。子供心にこの演出に惚れました。映画に近づこうとした結果の近年のムービーゲームにはうんざりですが、昔の作品は限られたスペックの中で工夫を凝らした表現だからこそ心に響くのだと思います。
前作と同じく、主人公達が勝手に喋り行動するストーリー部分が多いものの演出手法は進化。自由度の高い成長システムと冒険しがいのある世界が用意されており、第5作の時点でシリーズとして完成したのではないでしょうか。
ジョブチェンジシステムや海底を含むフィールド構成などFF3を彷彿とさせますが、それに留まらない作品になっています。時間制限イベント、ラーニング、レベル○系魔法、2つのフィールドが合わさるギミック、森の中でエンカウントして入る蜃気楼の街など、様々なアイディアが詰め込まれています。
既に某国民的RPGを完全に越えてしまった感があります。個人作品と集団作品の違いでしょうか。ちなみに1992年はDQ5、真・女神転生、FF5の順に3大RPGが同じ年に発売されました。各作品の方向性の違いを比べてみると面白いですね。
あるジョブの特性・特技を経験を積めば他のジョブでも使えるようになる「アビリティ」システム。例えば白魔法を使えるナイトをつくれます。この作品の説明書は折り畳み式になっていて、広げると全ジョブの取得可能アビリティを一覧することができます。意外なジョブとアビリティの組み合わせが効果を発揮することもあり、そういった試行錯誤が楽しいシステムです。当時としては複雑な成長システムだったと思いますが、250万人のユーザーに受け入れられました。更に複雑化した現在のJRPGへの影響は大きいのではないでしょうか。
ジョブは22種類で、5キャラクター分のドット絵とCGイラストが用意されています。カワイかったりカッコよかったり、キャラクター毎にデザインが違っていて楽しめますが、一体どれだけの作業量だったのでしょうか。スクウェアのドッター、渋谷員子さんは神。
「無の力」を封じ込める為に世界を2つの次元に分け、その狭間に封印するという、SFチックな世界観。FFには1作目からファンタジーでありながら、タイムスリップといったSF要素が含まれていました。魔法の名称も英単語を4文字以内に短縮したものばかりで、小学生だった筆者は多くの単語をFFシリーズで学びました。ちなみに諸悪の根源「エヌオー」が「NO」、即ち「無」であることに気付いたのは大人になってからでした。
筆者の家庭でのゲーム解禁が遅くFF3〜FF6を順不同にプレイした為、グラフィック等の進化をイマイチ感じられなかったのが心残り。リアルタイムにプレイできていればベスト10にランクインしていたと思います。
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