3Dを活用し遊びの幅と潜入のスリルを高めた メタルギアソリッド

PlayStation

METAL GEAR SOLID / メタルギアソリッド
発売日:1998年9月3日 ハード:PlayStation

※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。

この作品、MGSとの出会いはファミ通Waveに付属していた体験版で、プレイ後即購入を決断。プレミアムパッケージを予約しました。

1996年のヒット作、バイオハザードが画質を維持する為にプリレンダリングされた2D背景+リアルタイムの3Dキャラクターという形式を取っていたのに対し、MGSはあえて背景もリアルタイムの3Dポリゴンで表現。狭い排気口に潜り込んだ視点、自由に辺りを見渡せる主観視点、壁際から奥を伺うビハインドカメラと視点を変えることで臨場感を高めゲームが3Dになることの面白さを印象づけてくれた作品です。

ちなみにタイトルの「SOLID」は主人公の名前と「立体」という意味のダブルミーニングで、かつての2D版メタルギアを3Dで復活させた、ということだそうです。

そして潜入という、バイオハザードとは全く違ったドキドキ・ハラハラ感。酷寒の地への単独潜入。敵兵や監視カメラの視界を避け、遮蔽物に隠れる。見つかれば多勢に無勢、圧倒的に不利。敵に発見された効果音が鳴るたびに、心臓の鼓動が加速しました。ステルスゲームというジャンルを大きく広めた作品です。

その一方で、ダンボールを被って隠れたり、わざと物音を立てて敵兵をおちょくったりと、ゲーム全般にネタが散りばめられていて、ホッと息をつかせてくれます。ストーリーは基本的に一本道ですが、様々なアクションやアイテムを駆使して遊べるサンドボックス型であると言えます。

また、潜入によるスリルがテーマであるものの、基本的にはアクションゲームとして作られており、それが通常の俯瞰視点の上下左右がコントローラーの上下左右に対応する形になっています。ステルスの合間に趣向を凝らしたボス戦が用意され、プレイヤーのアイデアや技術が要求されます。狙撃戦は燃えました。

メタ要素も魅力の一つです。重要な情報がゲームソフトのパッケージ裏に書かれていたり、長時間セーブをせずに進行していると心配する無線連絡が来たり。中でもお気に入りなのが、武器の装備方法の説明で、「〜という操作をすれば君の手に握られているはずだ」という言い回しです。

そして、なんと言っても読心術と念力を持つ「サイコ・マンティス」。プレイヤーのゲーム成績やメモリーカード読み取りによる性格分析、コントローラーの振動機能や接続ポートを使った仕掛けがあり、世界中のプレイヤーがTVリモコンの誤操作を疑ったでしょう。小島秀夫氏の名付け親は大きな仕事をしましたね。英語表記でも一文字違いとは奇跡です。

スナッチャー、ポリスノーツから続く圧倒的なテキスト・音声量。それまで声優にそれほど興味がなかった筆者は、この作品で大塚明夫氏や故塩沢兼人氏らの大ファンになりました。

デモシーンはプリレンダリングムービーとのギャップを回避する為にリアルタイムで表現されています。その長さには賛否両論がありますが、大いに盛り上げられました。

この作品を先にプレイした影響か、数ヶ月後に発売された3Dゲームの金字塔「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の衝撃が薄まってしまった感があります。

以降、シリーズの初回限定版を買い求めるディープ・スロートになっています。「ファンの一人だよ」。

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