黒船襲来。究極のゲーム Grand Theft Auto III
Grand Theft Auto III / グランドセフトオート3
発売日:2003年9月25日 ハード:PlayStation2
黒船の襲来。それまで、例えばレースゲームをプレイしていてる時に、「このコースをただスタートからゴールに向って走るのではなく、自由に歩き回りたい」とよく思っていました。レースを無視して低速で移動し、視点変更を駆使してコースの街並や自然を鑑賞したりしていました。そんな中、北米版から約2年遅れて発売されたこのゲーム、グランドセフトオート3。そこはなんでもありの世界。
まず驚いたのはその空間の広さ。オープンワールドゲームとの出会いでした。舞台演劇で暗転時に役者や大道具を入れ替える様に、従来のゲームでは部屋から部屋への移動程度で画面が暗転し、数秒間のロード時間が発生していました。それがGTA3では、起動時に長いロードがあるものの、ゲームを始めると数km四方の広大な街の中をシームレスに移動することができました。
さらに、遠景の描写力にも驚かされました。一歩足を進めると突然ビルや山が出現する、あるいは霧や闇で視界を制限する、そんなゲームが多かった中でGTA3では高層建築物は街のどこに居ても見え、対岸の島には立ち並んだビルが霞んでいました。その光景は、ゲームにかつて無い現実感を覚えさせました。
そしてサンドボックスという、決まった手順を求められないプレイスタイル。一応、チンピラが裏社会でのし上がっていく、というストーリーがあり、進めて行かないと解放されないエリアもあるのですが、そっちのけで様々な遊び方をすることができました。
このゲームのタイトル、Grand Theft Autoを訳すと車両窃盗、すなわち車泥棒。プレイヤーは、街中に駐車/走行中の車を自由に盗むことができます。その利用方法はただの移動手段としてだけではなく、タクシーを盗めば乗客を運び、パトカーを盗めば犯罪者を追い、救急車・消防車を盗めば患者の搬送・消火活動を行えます。クレ○ジータ○シーいらないやん!と思ってしまいました。
さらには、ストリートレースを行ったり、軽飛行機での遊覧飛行も楽しめます。広大な街と、無数の人々と車が行き交う環境を作ってしまえば、1本のゲームにあらゆるジャンルを内包できるんだなと、感心させられました。メタルギアソリッドシリーズの小島秀夫氏は、GTA3を究極のゲームと評していました。
今改めてプレイしてみると、オブジェクトのポップアップが目についたりしますが、当時リアルタイムにプレイした際には実写並みのCGに感じ、街並や騒音、ラジオから流れる音楽など、実際にアメリカに行ってその文化に触れた気がしました。死体があった場所に白線が残るようなブラックジョークや、人命の為に通行人を轢いてやって来る救急車、シリーズの中でも特に殺伐とした世界観も好きでした。
犯罪を助長するゲームとして槍玉に挙げられることの多い作品・シリーズですが、見知らぬ街を散策して近道を見つけたり、カーラジオを聴きながらドライブしているだけで楽しいゲームでもありました。She’s On Fire!
横スクロールアクションやRPG、格闘、ホラー等、一つのヒット作が生まれると無数のフォロワーが現れてきたゲーム業界ですが、国産のオープンワールドゲームがほとんど作られていないのが残念です。高い技術や制作費が必要と思われますが、国産ゲームと海外ゲームの間に邦画とハリウッド映画の関係の様な差が広がっているのを感じます。
小島プロダクションの新作「Project Orge」がオープンワールドゲームとのことなので、期待しています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません