オープンワールドのステルスゲーム アサシンクリード

PlayStation3

ASSASSIN’S CREED / アサシンクリード
発売日:2008年1月31日 ハード:PlayStation3

※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。

PS3版とXbox360版が発売され、PS3版をプレイしました。PS3の発売当初は特許紛争のためコントローラーに振動機能が無く、後に「実績」を後追いする「トロフィー」も搭載されていません。訴訟は和解に達し、付属のコントローラーがSIXAXIXSからDUALSHOCK3に変更されたものの、振動・トロフィー機能のアップデートは行われませんでした。パッケージに振動機能対応とあるのは誤表記です。

ゲームの内容は、12世紀のエルサレム周辺を舞台に暗殺者アルタイルが暗躍するソーシャルステルスゲーム。どう社会的かと言うと、目立つ行動を避け、人込みに紛れることで敵の目から逃れられるようになっています。追われていても、見られないうちに他人と並んでベンチに座っていれば敵は目の前を素通りして行き、正面突破が難しい場所では神学者に紛れて祈るフリをしていれば通過することができます。HD世代機のパワーで、リアルで広大な街並と無数の市民を描くことで生まれた新しいステルスゲームの形です。

登場する都市はマシャフ、ダマスカス、エルサレム、アッカの4つ。その間は広大な自然が広がるオープンワールドです。「フリーランニング」というシステムで、プレイヤーはあらゆる場所をよじ登り、屋根から屋根へ飛び移り、高所からダイブし、正に縦横無尽にこの世界を動き回ることができます。高い塔から街を見下ろす光景は圧巻で、そこから飛び降りると体のある部分が思わずキュッとなってしまいます。所構わずよじ登っていると市民から様々な罵倒を受けるのですが、それを再現したAA(アスキーアート)が秀逸!

中世が舞台の歴史モノかと思いきや、実はSF。暗殺者の末裔である主人公デズモンドはある企業に拉致され、DNAに眠っている先祖アルタイルの記憶をアニムスというマシンで読み取り構築した世界へトリップします。ゲーム中のメニュー画面などのインターフェイスもアニムスという設定で、オープンワールドの世界を構築する為のロード時間も過去へトリップする演出に組み込まれており、ゲームへの没入感を妨げない演出が施されています。この辺りをロード画面を単に暗転させるだけの他のゲームに見習って欲しいものです。

オープンワールドの世界とフリーランニングのシステムを構築するのに力を使い果たしたのか、ゲーム性に乏しいとの批判があった今作。続編では様々な要素が詰め込まれて反省が伺えますが、プレイ中にミッション達成状況画面が挿入される続編よりも今作のあらゆる部分がシームレスな作風の方が好みでした。

要人暗殺を繰り返すうちに徐々に明らかになる謎がスリリングです。隠されたモノを発見する特殊能力「タカの眼」が終盤に現実でも使えるようになるシーンは「マトリックス レボリューションズ」を思い起こさせました。PS3版は「トロフィー」が無いので旗集めのモチベーションが続きませんが、現実世界で「ペン」を取り忘れたのでいつか再プレイしようと思っています。

小島秀夫氏も絶賛した本作。同じステルスゲームであるメタルギアソリッド4、同ピースウォーカーとコラボレーションしています。小島プロダクションの新作オープンワールドゲーム「Project Ogre」。その全貌はまだ明らかではありませんが、本作が影響を与えているのではないでしょうか。

PlayStation3