本気でフルリメイク ファイナルファンタジー7 REMAKE

PlayStation4

FINAL FANTASY VII REMAKE / ファイナルファンタジー7 リメイク
発売日:2020年4月10日 ハード:PlayStation4

※本文にネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。

1997年1月31日に初代プレイステーション(PS1)用に発売されたオリジナル版FF7から23年の時を経て、現代水準のグラフィックでフルリメイクされた「FF7R」がついに発売されました!この記事を書いた前日に筆者はトロフィーをコンプリート&ゲーム内のPLAY LOGの項目も全部埋めるまでやりこみました。そんなFF7Rへの思いを書き綴っていきたいと思います。

オリジナル版の記事にもFF7発売当時について触れていますが、改めて振り返ります。

筆者が初めてファイナルファンタジーシリーズに触れたのはFF3。古風なシステムを踏襲し続けるドラクエに対して(※ドラクエも好きです!)、毎回成長システムが変わったりアクティブタイムバトルを導入して非ターン制にしたり、2DグラフィックとRPGの枠の中で映画的な演出に挑戦するFFシリーズに熱中していました。

更なる進化を求めたFFシリーズは、セガサターンより3D描画能力に優れ、カートリッジ形式の任天堂次世代機より大容量のCD-ROMを採用するプレイステーションに参入し世間を驚かせました。当時、ウルトラファミコンと呼ばれていたスーパーファミコンの後継機(ニンテンドー64)向けに発売されると誰もが思っていたからです。

ゲーム専門誌ではなく週間少年ジャンプで目にした、PS参入とFF7の第一報は衝撃でした。CGで描かれた、闇の中で光り輝く魔晄都ミッドガル。3Dポリゴンになったキャラクターと戦闘シーン。FF6で片鱗のあったスチームパンクに加え、サイバーパンクな世界観と3D化という大きな変化。当時中学生だった筆者はゲーム専門誌をいくつも買いあさり穴が開くほど眺め、トバルNo.1に付属していた体験版を発売日までの半年間、毎日のようにプレイ。当時CD-ROMのネックだったロード時間を感じさせず、プリレンダリングのCGムービーからスムーズにプレイアブルシーンに移行するのに感心していました。

そして迎えた発売日から1〜2週間は寝る間を惜しんでプレイ。要所で挿入される美麗なCGムービー。暗いミッドガルから緑鮮やかなフィールドに出た時の開放感。謎が謎を呼ぶ複雑なストーリーと衝撃的な展開。マップチップを並べていた2D時代のRPGのボリュームをフルCGでもやってのけた圧倒的物量!多くのゲーム会社がFF7の「CGクオリティと物量」が基準になったら困ると嘆いていたそうです。

もちろん、当時の視点でも不満点はいくつかありました。FF6で移動時と戦闘時の頭身が揃ったのにまたバラバラになってしまったし、SFC末期のドット絵に比べるとポリゴンの粗さは目につきました。雑誌記事や攻略本にはメインキャラクターのハイクオリティCGカットが掲載されていて、いずれこの画質で、戦闘シーンへもシームレスで・・・と夢を膨らませていました。

その後もFFシリーズは着々と進化していき、次作のFF8では移動時と戦闘時の頭身が統一。PS2に移行したFF10では従来のプリレンダリングムービーに近い品質でのリアルタイム描画が可能に。FF12では移動と戦闘がシームレスに。映像の進化に対して不自然だった見合い形式の戦闘システムは、遂にFF15で自由移動のアクション+コマンド形式に。そしてFF7Rでもこの進化の流れを汲むものになっています。

前置きが長くなりましたが、ここから「FF7R」のお話。発売1ヶ月前にPSNで体験版がダウンロードできるようなりましたが、楽しみをとっておくためにあえて未プレイ。トレイラーも見ないようにしていました。ちなみに、FF7のオープニングを再現したPS3用のTech Demoが公開されたのが2005年。実際に遊べるようになるまで15年待つことになるとは・・・。

前述の通り、オリジナル版FF7は当時としても破格な質・量でした。それを更に現在求められる水準で一度に全編リメイクは不可能で、リメイク版は分作という形をとっています。その1作目であるFF7Rは、原作のミッドガル編を収録。

オリジナル版より、Tech Demoより、更に精緻になりディティールが追加されたオープニングのミッドガル。カクカクだったポリゴンから、現代水準のクオリティに生まれ変わったクラウド達。アクション+コマンド形式でシームレスに移行する戦闘システム。PS1〜PS4の進化をリアルタイムで見てきて、海外のAAAクラスのゲームにも多く触れてきましたが、やはりあのFF7が生まれ変わった姿に感慨もひとしお

クラウド達の装備が反映されないプリレンダリングムービーは筆者が気がついた範囲で、支柱からの脱出、ラストバトル前の一部、エンディングの3箇所程度(※場面転換のロード時間を省くために「実機再生を録画」したようなシーンは数カ所あると思われます)。激しいアクションシーンもリアルタイムでよく動き、カットシーンからスムーズにプレイアブルに移行します。

オープンワールドゲームのようにミッドガルを自由に歩き回りたいとよく妄想しますが、それをやるとストーリーを全く別のものにする必要がある為、少なくともこのFF7Rではないだろうと思っていました。その代わり今作では、瓦礫のようなスラムで暮らす人々や日常風景がより深く描かれ、原作よりも行動範囲が広くなっています(なんでも屋のクラウドの評判がだんだん良くなっていくのが地味に良い)。スラムから見上げるミッドガルのプレートの風景、対比が今作で一番表現したかったもののような気がします(ディティールが映画「スター・ウォーズ」のファルコン号やデス・スターを彷彿とさせる)。

BGMは上手く統一感のあるアレンジが施されています。原作とは違う場面で使われている曲がいくつかあり、本来フィールド(ワールドマップ)で流れるメインテーマがスラム使われていて最初は驚きましたがマッチしています。カットシーン用BGMでは様々な曲のフレーズを散りばめてアレンジ・再構成されていて、ニヤリとさせられました。

ストーリー面ではアバランチのメンバー、ビッグス、ウェッジ、ジェシーの3人がより掘り下げられエピソードが追加。そして2人のヒロイン、エアリスとティファと二人きりで行動を共にする機会も増えています。特にエアリスと教会から脱出後のやりとりは、BGMと相まって癒されると同時に原作のストーリーを知っていると切なさでいっぱいの気持ちに。クラウドの気合がやたら入っていた蜂蜜の館は大幅リニューアルして登場。女装イベントやコルネオが3人に脅されるシーンも再現されています。

しかしストーリーを進めると、どうやら原作にエピソードを追加した単なるリメイクではないと分かってきます。序盤から宿敵セフィロスが現れ、原作でストーリー後半のシーンの映像が度々フラッシュバック。クラウド達の行手を何度も阻んできた幽霊のような存在「フィーラー」の目的はオリジナル版FF7でクラウド達が辿った運命(エアリスの死やメテオ回避)に導き、それに抗おうとする者を妨害する運命の番人だったと判明。エアリスとセフィロスだけがその運命を知っている2周目的存在のようです。映画「バタフライ・エフェクト」やゲーム/アニメ「シュタインズ・ゲート」の様な展開!

映像だけ綺麗にしたリメイクをプレイしたかった、というプレイヤーの声もわからなくもありません。分作の2作目以降が、ミッドガル編の様に原作をほぼ再現しつつ別の展開になるのか、それとも端折ったり大幅に展開が変わったりするのかは不明ですが、この「リメイク」に対して筆者は肯定派。新しい物語が楽しみです。

しかし、ガ系の上位魔法、召喚獣のリヴァイアサンやバハムートまで使えて、原作のラスボス戦のシチュエーションを再現していたり、ミッドガル編では登場しない場面やキャラクターのBGMが流れていたりと、FF7R一作でも満足させ完結できそうな作りになっているので続編が本当に発売されるのか心配。エアリスの「未来は白紙」、セフィロスの「そこから先はまだ存在していない」といったセリフもメタ的に捉えることもできます。

原作では序盤に過ぎないミッドガル編だけで構成される故に、サブクエストや「障害物で回り道&ギミックで解決」、敵の硬さでプレイ時間を水増ししている感はありますが、アイテム回収などを取りこぼさずやっていくと初回プレイ時間は50時間程度になるのではないでしょうか。難易度ノーマルの初回プレイは常にギリギリの歯応えがあって楽しめました。クリア後に選べる難易度ハードは武器やマテリアを育てていても厳しく、攻略しがいがあります。

ウィンドウなどのUIが青色基調だったり、終盤のパーティ切替に使う通信機にPHS表記があったり、コロシアムやシミュレーターでの勝利時にオリジナル版の勝利ポーズやカメラアングルが再現されていたりと、細かな部分で原作要素が入っているのが嬉しい。日本版パッケージは白バックの原作に対して黒バックという対比もされています。

なんにせよ、作る作る詐欺と揶揄されていたリメイク版FF7をスクエニは本気でリメイクしてくれました!クオリティはもう心配ないので、できるだけ早く残りの分作もお願いします!

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